20世紀ジャズ名盤の全て

タートルズ・ドリーム / アビー・リンカーン -ブログ

アビー・リンカーンといえば、マックス・ローチの元奥さんで、彼が打ち出していた60年代の黒人開放運動の一環としての“プロテスト・ジャズ”の先鋭的な一員というイメージが強かった私。

しかし、90年代にカムバックを果たした彼女の歌唱スタイルはずいぶんと変化していた。

年齢のせいもあるのは仕方がないことだが、やはり歌声には、かつてのハリはない。しかしその分、メロディをとても大事にしながら、じっくりと歌い上げる歌唱には心が揺さぶられる。

しみじみと歌い、じわじわと染み込ませる。

まさにベテランならではの表現力。

ヘンなたとえだが、この切々と心の中に訴えかけるようなアビー・リンカーンの歌唱は、場末の飲み屋で、若くもないし、美人でもないし、スタイルも良くないけれども、人生の酸いも甘いも経験しつくしたような“おばちゃんママ”の歌が、妙にささくれた心にじんわりと染みてくるような、なんだかそのような感じ。

永遠に朝がこないように感じられる夜の一人酒とともに。

また、さだまさしの《秋桜(コスモス)》のメロディが好きな人にもお勧め?!

1.Throw It Away
2.A Turtle’s Dream
3.Down Here Below
4.Nature Boy
5.Avec Le Temps
6.Should’ve Been
7.My Love Is You
8.Storywise
9.Hey, Lordy Mama
10.Not To Worry
11.Being Me

Abbey Lincoln (vo)
Roy Hargrove (tp)
Julien Lourau (ss,ts)
Rodney Kendrick,Kenny Barron (p)
Pat Metheny (g,elg)
Lucky Peterson (g,background vo)
Charlie Haden,Christian McBride,Michael Bowie (b)
Victor Lewis (ds)

track 1
Laurent Cuguy (String Arrangements)
Pierre Blanchard,Vincent Pagliarin (vln)
Frederic Fymard (viola)
Anne-Gaella Bisquay,Marc Gilet (cello)

track 3
Randoloph Noel (String Arrangements)
Sandra Billingslea (vln)
John Robinson (cello)

1994/05/29 & 11/07 & 08

ジャズマスターに捧ぐ/カーネギーコンサートライブ -

「ジャズ・マスターズに捧ぐ-Verve50周年記念カーネギー・ホールコンサート・ライブ」。これでもかというくらいに新旧豪華な顔合わせのコンサートです。ハービー・ハンコックは1、10、15-16曲目に、チャーリー・ヘイデンは5-6曲目に、パット・メセニーは11-12曲目に、ゲイリー・トーマスは15曲目に参加。1曲1曲は比較的コンパクトになっていて、演奏しているのはけっこうオーソドックスなジャズだけれども、それぞれフィーチャーされたソロイストたちの演奏は個性的でなかなか。ハンコックのピアノはちょっとトンガっていて聴いていると面白いです。バックバンドのメンバーも名前を知っているような腕っこきが多数います。総花的ではあるけれども、こういうセッションもなかなか貴重なので、聴いておいて損はないかも。

Carnegie Hall Salutes The Jazz Masters(Verve) – Recorded April 6, 1994. Don Alias(Per), Tom Barney(B), Dee Dee Bridgewater(Vo), Ray Brown(B), Kenny Burrell(G), Betty Carter(Vo), Peter Delano(P), Al Foster(Ds), Charlie Haden(B), Omar Hakim(Ds), Herbie Hancock(P, Key), Roy Hargrove(Tp), Joe Henderson(Ts) Bruce Hornsby(P, Key), Antonio Carlos Jobin(P, Vo), J.J. Johnson(Tb), Hank Jones(P), Abbey Lincoln(Vo), Jeff Lorber(Vo), Christian McBride(B), John McLaughlin(G), Jackie McLean(As), Pat Metheny(G), Art Porter(As), Renee Rosnes(P), Stephen Scott(P), Jimmy Smith(Org), Gary Thomas(Ts), Kenny Washington(Ds), Vanessa Williams(Vo), Yosuke Yamashita(P), The Carnegie Hall Jazz Band: Randy Brecker(Tp), Earl Gardner(Tp), Lew Soloff(Tp), Byron Stripling(Tp), Slide Hampton(Tb), Douglas Purviance(Tb), Steve Turre(Tb, Shells), Dennis Wilson(Tb), Jerry Dodgion(As), Frank Wess(As), Alex Foster(Ts), Willie Williams(Ts), Gary Smulyan(Bs), Dennis Irwin(B), Special Guests: Don Sickler(Cond) – 1. Tea For Two 2. Tangerine 3. Shiny Stockings 4. Willow Weep For Me 5. I Must Have That Man 6. Desafinado 7. Manteca 8. Parisian Throughfare 9. How High The Moon 10. Turn Out The Stars 11. The Eternal Triangle 12. How Insensitive 13. Down By The Riverside 14. Yellow Stone 15. It’s About That Time 16. Now’s The Time

 

虹の彼方に/森山威男 -森山威男

演奏自体がスローテンポで進行するので、フリーキーなトーンがより映えるというか、異質感を際立たせた演奏と響きます。
2曲目が有名曲”わたらせ”ですが、ここでも冒頭ピアノによる即興的な演奏が延々と続き、3~4分経過したところでお馴染みの旋律がおもむろに登場するような展開で、テンポはここでもゆっくりめで重厚感のある”わたらせ”が表現されます。
これまで(音源でもライブでも)自分が聴いてきた”わたらせ”とは一線を画するとでも言いたいような、ちょっと新鮮に聴ける”わたらせ”であります。

“見上げてごらん夜の星を”は、井上さんのテナーによるまっとうな演奏で始まりまして、これはストレートな分だけ

 

沁みる演奏になっています。途中、即興がちょこっと挟まりますが基本は、ストレートな演奏に終始して終了します。
そして、”Goodbye”。ピアノで冒頭近くから主旋律が提示され、2管がかわるがわる登場して旋律を奏でるこれもスローめなテンポ(これは、いつでもこの程度のテンポっすね(汗))で重厚感をたたえた演奏になっています。
最後に、林さんの高音でピロピロいうトーンからはじまるOVER THE RAINBOWの再演で締めくくられる。
スピードを通常よりスローテンポにしたものも含めて、スローな楽曲を集めていますが、演奏としてはフリー濃度は低めなれど侮れない熱さをもったもので、安易に気持ち良く音楽に浸るようなものではありませんでした。
さすがに、聴きごたえはしっかり持った(高値取引されるのも判る)好演盤でありました。

アーティスト/キャスト
森山威男
井上淑彦
吉野弘志
板橋文夫
林栄一

収録内容
1 虹のかなたに
2 わたらせ
3 見上げてごらん夜の星を
4 グッドバイ
5 虹のかなたに

ジュラシック クラッシック/ジェームズ・カーター。 -1990年代

豪快に咆哮しまくるジェームズ・カーター。

凄不思議なことに、あれだけ吹きまくりの《A列車で行こう》を聴いても、ウルサイという感じは全くせず、むしろとても爽快な気分になれた。これでもか、と吹きたい放題に吹きまくる彼のブロウは、たとえば同じ長尺ソロでも、コルトレーンの「内へ内へ」と向かってゆく、ある種の息苦しさとは対極の、開けっぴろげに「外へ外へ」と向かってゆく開放感を感じたからなのかもしれない。迷いの無い彼のサックスは、突き抜けた感じがし、清々しい感じさえした。ピアノのクレイグ・ティーボーンも、破茶滅茶っぷりも爽快だ。あるときはセシル・テイラー風だったり、またあるときはマッコイ・タイナー風だったりと、先人のスタイルを自在に行き来し、荒削りながらも威勢よくはっちゃけているところに好感が持てる。ブッ飛んだカーターのテナーには、これぐらい元気なピアノじゃないと面白くない。
あのサックス相手に、大人しいピアノでは、演奏が白けてしまう。テーマのメロディは無くとも、すぐに原曲が思い浮かぶ《アウト・オブ・ノーホェア》は、元気一杯で明るく爽やかな演奏。

《エピストロフィ》、《アスク・ミー・ナウ》と、モンクの曲を2曲も取り上げているのも嬉しい。そういえば、このアルバムは選曲が良いことに気が付く。つまり、《アウト・オブ・ノーホェア》を除けば、ジャズマンが作曲したナンバーで占められているし、そのどれもが、名曲ばかりなのだ。《A列車》のビリー・ストレイホーンをはじめ、コルトレーンに、クリフォード・ブラウン、そしてロリンズの《オレオ》も取り上げられているので、彼らのファンにとっては、たまらない人選、選曲といえる。ラストの素っ頓狂な音の跳躍を見せる《オレオ》が、お下劣一歩手前のユーモアがあって楽しい。凄まじいほどのテクニックと、聴き手を爽快な気分にさせる、元気一杯なこのアルバムの頃のジェームス・カーターが私は大好きだ。

最近は、妙に落ち着いた感じがしないでもないが。

?album data

JURASSIC CLASSICS (Diw)
– James Carter

1.Take The “A” Train
2.Out Of Nowhere
3.Epistrophy
4.Ask Me Now
5.Equinox
6.Sandu
7.Oleo

James Carter (ts,as,ss)
Claig Taborn (p)
Jaribu Shahid (b)
Tani Tabbal (ds)

1994/04/16-17

DUO/峰厚介 菊池雅章 -1990年代

トラックリスト

01ミスター・モンスター
02ジャンゴ
03リトル・アビ
04アイ・リメンバー・ゴコー
05リメンバー

演奏

峰厚介(ts)菊地雅章(p)

録音

94.3

峰厚介

1944年東京都生まれ。ジャズ・サックス奏者。63年ごろから活動開始(アルト・サックス)。69年菊池雅章(p)グループに参加、73年解散まで在籍。70年初リーダー作『MINE』リリース。71年よりテナーに転向。その後渡米。78年本田竹曠(p……
1939年、東京都生まれのピアニスト/作曲家。6歳でピアノを始め、18歳よりプロとして活動開始。美空ひばり、渡辺貞夫、日野皓正をはじめ、海外勢ではライオネル・ハンプトンやソニー・ロリンズらと共演。60年代初頭に秋吉敏子やチャーリー・マリアー……

ムードスイング ジョシュアレッドマン -ジョシュア レッドマン

話題の新鋭、ジョシュアにとって3枚目にあたる本作は、レギュラー・グループで臨んだ等身大の演奏だ。全編自作曲で構成され、どちらかといえば内に秘めた意欲を感じさせる内容となった。伝統を意識しながら、自分のスタイルを模索する真摯な姿がある。

トラックリスト

01SWEET SORROW
02CHILL
03REJOICE
04FAITH
05ALONE IN THE MORNING
06MISCHIEF
07DIALOG
08THE ONENESS OF TWO (IN THREE)
09PAST IN THE PRESENT
10OBSESSION
11HEADIN’ HOME

演奏

ジョシュア・レッドマン(sax)ブラッド・メルドー(p)クリスチャン・マクブライド(b)ブライアン・ブレイド(ds)

21/ジュリ アレン -ジュリ アレン

曲目リスト

  • 1. RTG
  • 2. イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー
  • 3. ドラマーズ・ソング
  • 4. イントロスペクション~セロニアス
  • 5. ビューティフル・フレンドシップ
  • 6. イン・ザ・モーニング
  • 7. ティー・フォー・トゥー
  • 8. 木の葉の子守唄
  • 9. フィード・ザ・ファイア
  • 10. オールド・フォークス
  • 11. プレイス・オブ・パワー
  • 12. イン・ザ・ミドル

【演奏者一覧】
ジェリ・アレン(p) ロン・カーター(b) トニー・ウィリアムス(ds)

【収録情報】
94年3月

マサダ1/ジョン/ ゾーン -ジョンゾーン

ゾーンが自らのルーツ、ユダヤ伝統のクレッツマー(クレズマー)の旋律を全面的に押し出し、思わぬ効果をあげた『マサダ』シリーズの第一弾が、この『マサダ1』だ。

物憂げなマイナー旋律が特徴のクレッツマー(クレズマー)。この旋律が、鋭利なゾーンのアルトサックスが、スピード感抜群のリズムセクションに支えられ水を得たように疾走する特に、1曲目の《ヤイール》など、アルトサックスとトランペットの微妙なズレを意図したアンサンブルと、旋律、そしてスピード感は、オーネットとドン・チェリーのアンサンブルを彷彿とさせるものがある。オーネットファンは、《ヤイール》を聴いただけでも、一気に『マサダ』の虜になるのではないだろうか。語弊があるかもしれないが、まるで「エスニック・オーネット」。そして、クレッツマーの旋律と、ゾーンのアルトの音色がここまで似合うとは。
さらに、ジャズとユダヤ旋律はこれほどまでに違和感なく溶け込むものだとは。新鮮な驚き、と同時によく考えれば、ベニー・グッドマンやハリー・ジェイムス、ジギー・エルマン、スタン・ゲッツにしろ、作曲家のガーシュイン、アーヴィング・バーリン、リチャード・ロジャースにしろ、歌手のペギー・リーにしろ、ジャズにはユダヤ系が多いことは周知の事実(イタリア移も多い)。

ジャズの出自は黒人なのだろうが、それが洗練形作られる過程には、多くのユダヤ系の作曲家、演奏家たちの手を経てきたので、ある意味、ジャズとユダヤの親和性が高いのは当然といえば当然なのかもしれない。この『マサダ1』のもうひとつのポイントは、デイヴ・ダグラスのトランペットだ。彼のトランペットが絶妙にゾーンを彩る影となり、ときには前面に出、濃いコントラストと、奥行きを演奏に与えることに成功している。ゾーン以下、カルテットのメンバーが一丸となって突進してゆく様は、攻撃性高く、どこまでも鋭い。あたかも、ずっと以前からゾーンはクレッツマーを演奏しつづけてきたミュージシャンかと錯覚してしまうほど、ユダヤ伝統音楽と、ゾーンの前衛色強い音楽性の親和性は高かったのだ。シリーズ全10作まで続き、さすがに全部を丹念に聞き通すのは、かなり精神的にも疲れる作業ではあるが、音楽的充実度、演奏の卓越さはどれをとっても甲乙付けがたい。

『vol.1』が出たときは、新鮮さを感じると同時に「なるほど!その手があったか!」と、あまりにゾーンのサウンドとクレズマーとの親和性に妙に納得したものだ。最初に聴くなら、まずは『vol.1』からの入門をオススメしたい。

– John Zorn

1.Jair
2.Bith Aneth
3.Tzofeh
4.Ashnah
5.Tahah
6.Kanah
7.Delin
8.Janohah
9.Zebdi
10.Idalah-Abal
11.Zelah

演奏者

John Zorn (as)
Dave Douglas (tp)
Greg Cohen (b)
Joey Baron (ds)

94/02/24

ワンフィンガースナップ/ケニーバロン -1990年代

トラックリスト
  • 01テイク・ザ・コルトレーン
  • 02セイル・アウェイ
  • 03ビー・バップ
  • 04パッション・フラワー
  • 05マッドマン
  • 06ナイトレイク
  • 07ザ・ロス・オブ・ア・モーメント
  • 08ワントン・スピリット
  • 09メランコリア
  • 10ワン・フィンガー・スナップ
演奏
ケニー・バロン(p)チャーリー・ヘイデン(b)ロイ・ヘインズ(ds)
録音
94.2

ブラウニー クリフォードブラウンに捧ぐ/ヘレンメリル -ヴォーカル

ジャズ・ヴォーカルの最高の人気作『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』から40年後の追悼集。13曲中5曲はインストでこの構成がいい。4人のトランペッターが参加しているがトム・ハレルが群を抜く。最近のケニー(p)もグー。絶対聴くべし。

トラックリスト

01ユア・アイズ
02ダフード
03ボーン・トゥ・ビー・ブルー
04アイ・リメンバー・クリフォード
05ジョイ・スプリング
06四月の思い出
07ドント・エクスプレイン
08ブラウニー
09ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
10アイル・ビー・シーイング・ユー
11メモリーズ・オブ・ユー
12ゴーン・ウィズ・ザ・ウィンド
13ラルゴ~「新世界」 (ドヴォルザーク)

演奏

ヘレン・メリル(vo)ルー・ソロフ(tp)ロイ・ハーグローヴ,トム・ハレル(tp,flh)ケニー・バロン(p)ルーファス・リード(b)ヴィクター・ルイス(ds)

録音

94.1

ロイ ハーグローブ ウイズザテナーズアワタイム -ロイ ハーグローブ

このところ成長著しいハーグローヴは、ウイントン・マルサリスの次の世代に当たる期待のトランペット奏者。

このポリグラム移籍第1弾では、人気テナー奏者5人を迎えた好企画盤。ロイは相変わらずの破天荒なプレイで、スケールの大きさを改めて実感。
トラックリスト

01ソッピン・ザ・ビスケット

02ホェン・ウィ・ワー・ワン
03ヴァルス・ホット
04ワンス・フォーゴットゥン
05シェイド・オブ・ジェイド
06グリーンズ・アット・ザ・チキン・シャック
07ネヴァー・レット・ミー・ゴー
08セレニティ
09アクロス・ザ・ポンド
10ワイルド・イズ・ラヴ
11メンタル・フレイジング
12エイプリル・フール

演奏

ロイ・ハーグローヴ(tp,flh)ロン・ブレイク(ts,ss)サイラス・チェスナット(p)ロドニー・ウィテカー(b)グレゴリー・ハッチンソン(ds)ジョニー・グリフィン,ジョー・ヘンダーソン,ブランフォード・マルサリス,ジョシュア・レッドマン,スタンリー・タレンタイン(ts)

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