ドゥー・バップ/マイルス・デイビス -1990年代
帝王最後のスタジオ録音は、当時ブレイクの兆しを見せていたラップを大胆に取り入れた作品だった。もっとも巷にあふれる似て非なるラップとはとても比べられない。彼はストリートと芸術をおなじ次元に定着させた。
アーティスト:マイルス・デイヴィス(TP) ケニー・ギャレット(AS) デロン・ジョンソン(KEY) イージー・モー・ビー(PROG,SAMPLES,RAP) 他
収録曲:
帝王最後のスタジオ録音は、当時ブレイクの兆しを見せていたラップを大胆に取り入れた作品だった。もっとも巷にあふれる似て非なるラップとはとても比べられない。彼はストリートと芸術をおなじ次元に定着させた。
アーティスト:マイルス・デイヴィス(TP) ケニー・ギャレット(AS) デロン・ジョンソン(KEY) イージー・モー・ビー(PROG,SAMPLES,RAP) 他
収録曲:
今は亡きカークランドが残した唯一のリーダー作。ストレート・ジャズだけではなく、ロックやポップにも強い彼らしく、ボーダーレスな音楽が縦横無尽に繰り広げられる。この才能が21世紀に生き続けていたら…。
アーティスト:ケニー・カークランド(P,KEY) (1)(2)(4)(9)(10)ブランフォード・マルサリス(SAX) (1)(4)(7)チャーネット・モフェット(B) ジェフ・ワッツ(DS) (6)クリスチャン・マクブライド(B)他
収録曲:
バロウズの原作をクローネンバーグが映画化し、そのサントラをオーネットが担当した…、となればこれは傑作以外の何ものでもない。トリオとロンドン・フィルのせめぎ合いが、映画以上の不気味な快楽をもたらす。
アーティスト:ハワード・ショア(comp)オーネット・コールマン(as)バール・フィリップス(b)ディナード・コールマン(ds)ロンドン・フィルハーモニック・オーケストラ
収録曲:
いわゆるジャズ・ボーカルとは一線を画したフィールドで自分の歌を追求するコール。彼女が本作で登場した時は、本当に鮮烈だった。聖女と娼婦が同居したような神秘的なムードは、現在も多くのファンを魅了している。
アーティスト:ホリー・コール(VO) アーロン・デイヴィス(P) デヴィッド・ピルチ(B) ジョニー・フリーゴ(VN) ロバート・スティーヴンソン(BS-CL)
収録曲:
ポスト・ウイントンの筆頭だったテレンスのソロ・デビュー作。ウイントンを目標にしてきたというだけあって、そのテクニックは申し分ない。が、そのテクニックの裏側にある伸びやかな叙情こそが彼の個性だろう。
アーティスト:テレンス・ブランチャード(tp)ブルース・バース(p)ロドニー・ウィテカー(b)(2)(3)(8)ブランフォード・マルサリス,(5)(7)(9)サム・ニューサム(ts)(2)~(4)ジェフ・ワッツ,(1)(5)~(9)トロイ・デイヴィス(ds)
収録曲:
フュージョン・シーンを代表する4人のミュージシャンによるスペシャル・ユニットのでデビュー盤。メイン・コンセプトはファッショナブルでインティメイトなサウンドだが、時折名人ならではの凄みがギラリと光る。
アーティスト:ネイザン・イースト(B) ハーヴィー・メイソン(DS) ボブ・ジェイムス(KEY) リー・リトナー(G) (6)エル・デバージ(VO)
収録曲:
その音に静かなる狂気が宿るギタリスト、ユーバンクスのブルーノート移籍第1弾。ピックではなく指で弾かれるサウンドが異質だが、一度ハマると抜けられない。ジョーダンのアルト・フルートとのアンサンブルも異色。
アーティスト:ケヴィン・ユーバンクス(G) ケント・ジョーダン(ALTO FLUTE) デイヴ・ホランド,チャーネット・モフェット(B) マーヴィン・スミティ・スミス(DS)
収録曲:
オランダからやってきたセクシーな歌姫のソロ・デビュー。ステージではプロ意識に徹したエンタテイナーぶりが目立つが、もちろん歌のうまさもピカ一。最近は色っぽいジャズ・ボーカルが少ないとお嘆きの方に。
アーティスト:ローラ・フィジィー(VO) トゥーツ・シールマンス(HCA) フェルディナンド・ポペル(SAX,FL) グエナエル・ミコー(KEY) フィリップ・カテリーン(G) ルード・ヤコブス(B) ピーター・イプマ(DS) 他
収録曲:
新伝承派の立役者、ボビー・ワトソンの移籍第1作。唖然とするようなテクニックがここでは着実に表現に結びついている。現代のストレート・アヘッドに直結するサウンド。
アーティスト:ボビー・ワトソン(as)ヴィクター・ルイス(ds)エドワード・サイモン(p)テレル・スタッフォード(tp)エシオット・オコン・エシオット(b)
収録曲:
ジャズ・ネットワークスは日米のヤング・ライオンによる混成グループ。これを聴くと、もはや日本とアメリカのトップ・レベルのあいだにはほとんど差がないことがわかる。新鮮な解釈と率直なプレイがすがすがしい。
アーティスト:ロイ・ハーグローブ(TP)アントニオ・ハート(AS)椎名豊(P)嶋友行(B)大坂昌彦(DS)
収録曲:
スタンダーズとは別の方向性で、しかし唯一拮抗するトリオのデビュー盤。スタンダーズの到達した’高み’に対して、彼らの音楽はどこまでも’深い’。この深遠なる表現の一端を担うのが、我らとおなじ日本人だとは!
アーティスト:菊地雅章(P) ゲイリー・ピーコック(B) ポール・モチアン(DS)
収録曲:
若手随一のファンキー・ピアニストの、アッチッチのバンガード・ライブ。ピーターソンが自分の後継者に指名しただけあって、そのフィーリングは黒人も真っ青。まだ10代だったクリスチャンの驚異的プレイも聴ける。
アーティスト:ベニー・グリーン(P) クリスチャン・マクブライド(B) カール・アレン(DS)
収録曲:
ジョーダンは死の直前ビッグ・バンドを率いて来日したが、本人はガンが進行しほとんど演奏できなかった。が、ここでは彼の豪快なブロウをたっぷりフィーチャー。ビッグ・バンドならではのダイナミズムが堪能できる。
アーティスト:クリフォード・ジョーダン(ts)ディジー・リース,ドン・シックラー(tp)ジェローム・リチャードソン(as)ロニー・マシューズ(p)デヴィッド・ウィリアムス(b)ヴァーネル・フォーニア(ds)他
収録曲:
01アイ・ウェイテッド・フォー・ユー
02ハイエスト・マウンテン
03コン・マン
04ダウン・スルー・ジ・イヤーズ
05ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア
06ステイタス・クォー
07ジャパニーズ・ドリーム
08サード・アヴェニュー
09チャーリー・パーカーの最後の晩餐
実力的にはピカイチなのに、日陰モノ的な印象があるムラーツの、久々のリーダー作。とは言えベース・ソロが全編でフィーチャーされるわけではなく、創造的なバッキングを通して、彼のめざすジャズの形が見える。
アーティスト:ジョージ・ムラーツ(b)リッチー・バイラーク(p)ピーター・ドナルド(ds)
収録曲:
マイルスの死に際して、スタンダーズが急遽スタジオ入りして吹き込んだ追悼作。通常の彼らの音楽にくらべて’ひっかかり’のようなものが感じられるのは、鉄壁のトリオにマイルスという異物が混入しているからか。
アーティスト:キース・ジャレット(P) ゲイリー・ピーコック(B) ジャック・ディジョネット(DS)
収録曲:
「ジョー・ヘン、久々の復活!」と話題を集めた作品。もっとも本人は、引退したことは一度もないと言っていたが……。ウィントンら若手を多数起用しながら、一歩もひけをとることのないテナー・タイタンの貫録を聴け!
アーティスト:ジョー・ヘンダーソン(TS) ウィントン・マルサリス(TP) スティーブン・スコット(P) クリスチャン・マクブライド(B) グレゴリー・ハッチンソン(DS)
収録曲:
『ザ・ビューティフル・ワンズ』から約4か月後のライブで、曲は『ザ・ビューティフル・ワンズ』のものが中心。ブランフォードのライブの熱さには定評があるが、本作からもそれはビシビシ伝わってくる。サイドの二人も大熱演だ。
アーティスト:ブランフォード・マルサリス(ts,ss)ロバート・ハースト(b)ジェフ・ワッツ(ds)
収録曲:
渡米35周年を記念しておこなわれた秋吉敏子ジャズ・オーケストラのカーネギー・ライブ。ビバップと日本の音調を融合させたトシコ・サウンドがNYの音楽の殿堂で鳴り響く……。同じ日本人として感無量である。
アーティスト:秋吉敏子(p)ルー・タバキン(ts,fl)マイク・ボネラ,ジョン・エッカート,グレック・ギスバート(tp)ジョー・モグレナリ,ハーブ・ベッソン,コンラード・ハーウィグ,ラリー・ファレル(tb)マット・フィンダース(btb)フランク・ウエス(as,fl)他
収録曲:
ギル・エバンスのスコアをクインシー・ジョーンズが再現し、そこにマイルスが入るという驚きの企画。常に未来しか見なかったマイルスがここに来て過去を振り返ったのは、死期が近いことを悟っていたのだろうか。
アーティスト:マイルス・デイヴィス,ルー・ソロフ,マイルス・エヴァンス(TP) クインシー・ジョーンズ(指揮) ケニー・ギャレット(AS) ウォレス・ルーニー(TP,FLH) ジョージ・アダムス(TS,FL) ギル・ゴールドスタイン(KEY) グラディ・テイト(DS) 他
収録曲:
ボビー・ワトソンの秘蔵っ子、ロビンソンのデビュー作。新人離れした歌心たっぷりのブロウは師匠譲りか。脇を固めるメンバーの顔触れも、ロビンソンの実力の証左となるだろう。プロデュースもワトソンがつとめた。
アーティスト:ジャスティン・ロビンソン(as)ケニー・バロン,スティーヴン・スコット(p)ピーター・ワシントン(b)ルイス・ナッシュ(ds)エディ・ヘンダーソン(tp)ボビー・ワトソン,ゲイリー・ハーツ(as)他
収録曲:
マイルスも絶賛する弾き語りの名手、ホーンのウィズ・ストリングス集。抑制された表現が、逆にこの人の音楽の深さを感じさせる。プロデューサーもつとめたマンデルのアレンジも極上のブランデーを思わせる味わい。
アーティスト:シャーリー・ホーン(vo,p)チャールズ・エイブルス(b)スティーヴ・ウィリアムス(ds)(4)(9)ウィントン・マルサリス(tp)
収録曲:
ジャズの未来を担うヤング・ライオンが集結したスペシャル・グループ。この音楽を聴くと、伝統を尊重しつつそこに新しい感覚を盛り込むというウイントンが提示したアプローチがいかに有効なものであったかがわかる。
アーティスト:ロイ・ハーグローヴ,マーロン・ジョーダン(tp)アントニオ・ハート(as)ティム・ウォーフィールド(ts)マーク・ホイットフィールド(g)ベニー・グリーン(p)クリスチャン・マクブライド(b)カール・アレン(ds)
収録曲:
ネイティブ・アメリカンの血を引くデジョネットが、自らのルーツを音楽で表現した。大自然の鼓動が少しの嫌味もなく最先端のモダン・ジャズに溶け込んでいるところが素晴らしい。このユニットの最高作のひとつ。
アーティスト:ジャック・デジョネット(DS) グレッグ・オズビー,ゲイリー・トーマス(SAX) マイケル・ケイン,ロニー・プラキシコ(P)
収録曲:
地味ながら、そこらの若造が束になってもかなわない実力を持つソロフのリーダー作。ギル・オーケストラの仲間たちが全面的にバックアップし、ストレート・アヘッドよりもさらに一歩進んだサウンドが生まれた。
アーティスト:ルー・ソロフ(tp)レイ・アンダーソン(tb)ギル・ゴールドスタイン(p,syn)ピート・レヴィン(og,syn,vocoder)マーク・イーガン(b)ケンウッド・デナード(ds)マノロ・バドレナ(perc)
収録曲:
日本が世界に誇るパーカッション奏者、富樫が、久々にビバップをストレートに演奏した快作。長年にわたって日本のジャズを支えてきた屈指のメンバーによる音楽は、まさにジャパン・ジャズのスピリットがみなぎっている。
アーティスト:富樫雅彦(PERC) 佐藤允彦(P) 峰厚介(TS) 井野信義(B)
収録曲:
[Vol.1]
『リトル・ナイルス』で示唆したアフリカへの憧憬と回帰意識をストレートに打ち出した名盤。メルバ・リストンの全面協力によって生まれた力強く雄大で、かつ神秘的なサウンドは、まさにアフリカの大地を連想させる。
アーティスト:ランディ・ウェストン(p)アイドリース・シュリーマン(tp)ベニー・パウエル(tb,b-tb)タリブ・キブウェ(as,fl)ビリー・ハーパー(ts)デュウェイ・レッドマン(ts)アレックス・ブレイク(b)アイドリス・ムハマッド(ds)他
収録曲:
ブランフォードお得意のピアノレス・トリオだが、曲によってウイントンやコートニーが加わる。ブランフォードのサックスは、全体の音調からけっして大きく外れずに、それでいて自由を感じさせるところが素晴らしい。
アーティスト:ブランフォード・マルサリス(sax)ウィントン・マルサリス(tp)コートニー・パイン(ts)ボブ・ハースト(b)ジェフ・ワッツ(ds)他
収録曲:
名手シールマンスがシャーリー・ホーンのトリオと共演したアルバム。ホーンのトリオはオーソドックスだがドラマチックで、シールマンスが吹くハーモニカの味わいと実にマッチしている。4曲目ではホーンが本職の歌も。
アーティスト:トゥーツ・シールマンス(HCA,G,ホイッスル) シャーリー・ホーン(P,(4)VO) チャールス・エイブルス(B) スティーヴ・ウィリアムス(DS)
収録曲:
長年率いた自己のトリオに、テナーとアルトの2管を加えた辛島文雄のライブ。チック、ハンコックの影響を消化して、確固たる自分のスタイルを作り上げた辛島の自身がひしひしと伝わってくる。選曲もなかなか興味深い。
アーティスト:辛島文雄(p,key)桜井郁雄(b)奥平真吾(ds)井上淑彦(ts,ss)藤陵雅裕(as,ss)
収録曲:
日本人の手によるコンテンポラリー・ジャズ・レーベルは、ピーター・アースキンのリーダー作でスタートした。ジャンルの壁を取り払った新しい感性のこの音楽は、おそらく現代のジャズ・サウンドに直結するものだ。
アーティスト:ピーター・アースキン(ds)ケニー・ワーナー(p)マーク・ジョンソン(b)ジョー・ロヴァーノ,(3)ボブ・ミンツァー(ts)(3)(4)(8)ジョン・スコフィールド(g)(3)(4)ランディ・ブレッカー(tp)
収録曲:
傑作の誉れ高きゲッツのラスト・アルバム。病の身にもかかわらず、イマジネーションにいささかの衰えも見られないのが驚異的だ。バロンのバッキングも神がかり的。超自然的な力が演奏に作用したのかもしれない。
アーティスト:スタン・ゲッツ(TS) ケニー・バロン(P)
収録曲:
リンカーンの要望でスタン・ゲッツとの共演が実現した作品。結局これがゲッツにとって最後のスタジオ録音となった。魂のシンガーと即興の天才のコラボレーションは、聴く者を大きな感動で揺さぶらずにはおかない。
アーティスト:アビー・リンカーン(vo)スタン・ゲッツ(ts)ハンク・ジョーンズ(p)チャーリー・ヘイデン(b)マーク・ジョンソン(ds)マキシン・ローチ(va)
収録曲:
アミナ・クローディン・マイヤーズのオルガンをフィーチャーしたオルガン・アンサンブルの第2作。ブラック・ミュージックとしてのオルガン・サウンドがたっぷり。ブレイク直前のカーターは野心ギラギラですごい。
アーティスト:レスター・ボウイ(tp,flh)スティーヴ・トゥーレ(tb)アミナ・クローディン・マイヤーズ(og)ジェイムス・カーター(ts)ドン・モイエ(ds,perc)フィリップ・ウィルソン(ds)
収録曲:
フュージョン・サックスのスーパー・スターが、アンプラグドなサウンドに挑んだ意欲作。当時は賛否両論を呼んだが、今ではサンボーンのミュージシャンとしての志の高さを示した傑作アルバムとして認知されている。
アーティスト:デイヴィッド・サンボーン(AS) ビル・フリゼール(G,EL-G) アート・バロン(TB,BS-TB) レニー・ピケット(TS,CONTRA CL,EL-BS-CL) マーク・リボー(G,EL-G)ジョーイ・バロン,スティーヴ・ジョーダン,ジャック・デジョネット(DS)チャーリー・ヘイデン,グレッグ・コーエン(B)ドン・アライアス(PERC) レオン・ペンダーヴィス(OG) テリー・アダムス,マルグリュー・ミラー(P) アル・アンダーソン,デイヴ・トロンゾ(G)シド・ストロー(VO) マーカス・ミラー(BS-G)
収録曲:
レギュラー・カルテットによる久々のスタジオ録音。ベーシストはたびたびチェンジしたが、ブランフォード、カークランド、ワッツの3人は’鉄壁’と呼ぶに値する結束の固さだった。カークランドが世を去るまでは…。
アーティスト:ブランフォード・マルサリス(TS,SS) ケニー・カークランド(P) ボブ・ハースト(B) ジェフ・ワッツ(DS)
収録曲:
90年代初頭、メイバーンはDIWレーベルに少なからぬ録音を残したが、これもその1枚。カーター~ディジョネットという強力チームをバックに、ガンガンいくピアノは痛快そのもの。彼はもっと注目されていい人だ。
アーティスト:ハロルド・メイバーン(P) (1)~(9)ロン・カーター(B) ジャック・デジョネット(DS)
収録曲:
フェレルをはじめて聞いたのは91年のマウント・フジ。その時の衝撃は今でも忘れない。驚異的な音域と音程。それまでの女性ボーカルにはなかった新しいフィーリング。これはその彼女のスタンダード中心のデビュー作。
アーティスト:ラシェル・フェレル(vo)エディ・グリーン(p)タイロン・ブラウン(b)ダグ・ナリー(ds)テレンズ・ブランチャード(tp)アレックス・フォスター(ss)ウェイン・ショーター(ts)ミシェル・ペトルチアーニ(p)他
収録曲:
ナット・アダレイが、キャノンボールの再来と言われるビンセント・ハーリングをフィーチャーしたアルバム。ファンキーはファンキーだが、現代的なスマートさも兼ね備えている。この時代のナットを代表する作品だ。
アーティスト:ナット・アダレイ(COR) ヴィンセント・ハーリング(AS) ロブ・バーガド(P) ジェイムズ・ジナス(B) ビリー・ドラモンド(DS)
収録曲:
ブルーノートの第2作。前作がヘイデン、デジョネットという大物を迎えてのお披露目だったのに対し、本作はロバーノをはじめとする若手を配し、ジョン・スコ・ミュージックの神髄を聴かせる。神格化現象のスタート。
アーティスト:ジョン・スコフィールド(g)ジョー・ロヴァーノ(ts,acl)マーク・ジョンソン(b)ビル・スチュワート(ds)
収録曲:
60~70年代のバーツはモーダルでスピリチュアルなプレイが特徴的だったが、80年代以降は次第に表現の質が柔らかくなってきた。そんな変化は本作にも聴ける。ストレート・アヘッド・スタイルにアルトの音が活きる。
アーティスト:ゲイリー・バーツ(as)ケニー・バロン(p)レイ・ドラモンド(b)ベン・リレイ(ds)
収録曲:
80年代後半から90年代にかけてのルーニーとトーマスのコンビは本当に強力だった。本作ではそれをマクブライド&ブラックマンというフレッシュなリズム・チームが援護。静と動のコントラストはまさにマイルス譲り。
アーティスト:ウォレス・ルーニー(tp)ゲイリー・トーマス(ts,fl)ドナルド・ブラウン(p)クリスチャン・マクブライド(b)シンディ・ブラックマン(ds)
収録曲:
最近は何となく大人しいロビンも、80年代には本当にはち切れんばかりの野心に満ちていた。中でも本作は屈指の出来。ブランフォードとのコラボレーションに、この人の自由なスタンスと表現の幅広さが見て取れる。
アーティスト:ロビン・ユーバンクス(tb)ブランフォード・マルサリス(ts)グレッグ・オズビー(as)アール・ガードナー(tp)ケヴィン・ユーバンクス(g)リニー・ロスネス(p)ケニー・ワーナー(key)カサンドラ・ウィルソン,キムソン“キスム”アルバート(vo)デイヴ・ホランド,ロニー・プラキシコ(b)マーヴィン“スミティ”スミス(ds)ミノ・シネル(perc)
収録曲:
秋吉のスタイルの起点であるパウエルへのオマージュ。パウエルの愛奏曲ばかりを演奏するのはそうとう勇気のいる作業だと思うが、ここでの彼女はそんな重圧をものともせず、ビバップ・ピアノの神髄を聴かせてくれる。
アーティスト:秋吉敏子(P) (2)~(8)ジョージ・ムラツ,(1)(9)(10)レイ・ドラモンド(B) (1)(3)(6)~(10)ルイス・ナッシュ,(2)(4)(5)アル・ヘアウッド(DS)
収録曲:
90年のライブ・アンダー。我らが佐藤允彦は日本民謡を素材にワールド・ワイドなセッションを試みた。これはその時の記録。ショーターをはじめとする指折りのミュージシャンたちが佐藤の音楽の一部となる様は痛快。
アーティスト:佐藤允彦(KEY) ウェイン・ショーター,梅津和時,峰厚介(SAX) レイ・アンダーソン(TB) アレックス・アクーニャ(DS) ナナ・ヴァスコンセロス,高田みどり(PERC) 土方隆行(G) 岡沢章(B)
収録曲:
キューバからやってきた怪物ピアニストの本邦デビュー・アルバム。その超絶的な技巧とめまいすら覚えるリズム・センスは、ファンばかりかミュージシャンまでをも虜にした。本作で共演しているヘイデンもその一人だ。
アーティスト:ゴンサロ・ルバルカバ(P)チャーリー・ヘイデン(B)ポール・モチアン(DS)
収録曲:
ジョン・ファディスはガレスピーの愛弟子だけあって、音楽のはじけっぷり、陽気さも尋常ではない。その感じは本作にもよく出ている。ぶっ放されるハイノートにアフロ・キューバンなノリ。まさにガレスピーの遺産だ。
アーティスト:ジョン・ファディス(tp)リニ・ロスネス(key)ジェームス・ジーナス(p)ビリー・ドラモンド(ds)ヴィヴィアン・チェリー(vo)ディジー・ガレスピー(tp,vo)他
収録曲:
ブルックリン派のモンスター・サックス奏者、トーマスが、スタンダードに挑戦したアルバム。M-BASE一派とは文脈を異にする底の知れないスケールの大きな彼のプレイに、ハードコア・ジャズ・ファンたちは狂喜乱舞した。
アーティスト:ゲイリー・トーマス(TS,FL) ケビン・ユーバンクス(G) リニー・ロスネス(P,SYN) デイヴ・ホランド,アンソニー・コックス(B) デニス・チェンバース(DS)
収録曲:
アトランティックにおけるギャレットの第2弾。前作『プリズナー・オブ・ラブ』はこの人のポップな側面をアピールした作品だったが、これはギンギンのストレート・アヘッド路線である。図太いアルトが腹に響く。
アーティスト:ケニー・ギャレット(AS,FL,VO)マルグリュー・ミラー(P) チャーネット・モフェット,ロン・カーター(B)トニー・リーダス,エルヴィン・ジョーンズ(DS)ルディ・バード,ティト・オケイシオ,スティーヴ・ソーントン(PERC)
収録曲:
タウン・ホールにおけるスタンダーズのライブ。この頃になると彼らの音楽は、何が起こるかわからない緊張感よりも、何が起こっても揺らぐことのない調和を強く感じさせるようになってくる。質の高さは言うまでもなし。
アーティスト:キース・ジャレット(P) ゲイリー・ピーコック(B) ジャック・ディジョネット(DS)
収録曲:
RMOの第3作。戦争や差別に対する抵抗と批判を音楽のメイン・コンセプトにしているのが従来どおりなら、そのコンセプトを超えた純粋な感動を音楽が与えてくれるのも従来どおり。痛烈な響きが聴き手の胸を打つ。
アーティスト:チャリー・ヘイデン(b)カーラ・ブレイ(指揮)レイ・アンダーソン(tb)トム・ハレル(tp)ブランフォード・マルサリス,デューイ・レッドマン(ts)アミナ・マイヤーズ(p)他
収録曲:
ピーターソン、エリス、ブラウンの黄金トリオ(ホントはカルテットだが)、約30年ぶりの復活ライブである。ブランクをまったく感じさせない阿吽の呼吸は彼ら3人の信頼の証。しかしこの後ピーターソンは病に倒れる。
アーティスト:オスカー・ピーターソン(p)ハーブ・エリス(g)レイ・ブラウン(b)ボビー・ダーハム(ds)
収録曲:
90年代のマルの作品には’社会派’的様相を帯びたものが少なくないが、これはその最たる例と言えるだろう。ヨーロッパ、とりわけ東ドイツと少なからぬ因縁のある彼が、自らの音楽を通して自由の尊さを訴える。
アーティスト:マル・ウォルドン(p)パウロ・カルドーソ(b)ジョン・ベッチ(ds)
収録曲:
’美人ピアニスト’という冠に似合わずハードなピアノを弾くロスネス。このリーダー第2作でも、そんな彼女の特質はよく出ている。その一方でフェミニンな繊細さも兼ね備えているのだから、やはり大した才女ですね。
アーティスト:リニー・ロスネス(p)(1)~(7)ジョー・ヘンダーソン(ts)(2)(4)(5)(8)スティーヴ・コールマン(ss,as)アイラ・コールマン(b)ビリー・ドラモンド(ds)
収録曲:
名盤『シネ・ディエ』を発展させたコールマンのノーバス移籍第1作。定型ビートへの安易な依存に対する反逆のリズムが全編で爆発。その試みはジャズ史における大きな革命だったと思う。
アーティスト:スティーヴ・コールマン(as)ロビン・ユーバンクス(tb)デヴィッド・ギルモア(g)ジェース・ワイドマン(key)レジー・ワシントン(b)マーヴィン・スミティ・スミス(ds)デヴィッド・ホランド(b)カサンドラ・ウィルソン(vo)
収録曲:
ウィギンス~アーウィン~ケイという、ハミルトンにしては珍しいリズム・セクションをバックに配したワン・ホーン作。そのせいか、いつものスイング系よりもちょっとモダン寄りのハミルトンを聴くことができる。
アーティスト:スコット・ハミルトン(ts)ジェリー・ウィギンズ(p)デニス・アーウィン(b)コニー・ケイ(ds)
収録曲:
ジェリ・アレンは80~90年代を通してもっともクリエイティブな音楽を作ってきたピアニストの一人だ。このSomethin’else移籍第1作でもその旺盛な想像力は変わらない。この才女の前では、軟弱な男たちは吹っ飛ぶ。
アーティスト:ジェリ・アレン(p)マーカス・ベルグレイヴ(tp,flh)ケニー・ギャレット(as)ボブ・ハースト(b)ジェフ・ワッツ(ds)エリ・ファウンテン(perc)
収録曲:
名義上はデジョネットのリーダー作ではあるが、本質的にはパット・メセニー、ハービー・ハンコックの三者対等のグループ・コンセプトと考えるべきだ。中でも絶好調のメセニーのプレイには目を見張るものがある。
【演者】アーティスト:ジャック・ディジョネット(DS,KEY) パット・メセニー(G,SYN-G) ハービー・ハンコック(P,KEY)
【収録曲】
マンハッタン・トランスファーの音楽性に多大な影響を与えたジョン・ヘンドリックスはボーカリーズの大御所だ。しかしベテランの円熟味よりも、若手のような溌剌としてチャレンジ精神を持ち続ける姿勢には脱帽だ。
アーティスト:ジョン・ヘンドリックス,ジョージ・ベンソン,アル・ジャロウ(vo)トミー・フラナガン(p)ジョージ・ムラツ(b)ジミー・コブ(ds)他
収録曲:
映画のサウンドトラックだが、そのための作曲はなく、すべてスタンダード・ナンバー。実際に映画では使われていないトラックも多く、映画を離れても楽しめる内容だ。ボーカルもピアノも脂が乗りきって絶好調だ。(CDジャーナルより)
【アーティスト】
ハリー・コニックJr.(P,VO) ベン・ウルフ(B) ジェフ・ワッツ(DS) フランク・ウェス(TS) ジェイ・バーリナー(G) マーク・シャイマン(P)
【収録曲】
ブルーノート時代のペトルチアーニはまさに絶頂期だ、飛ぶ鳥を落とす勢いで次々に名盤を生み出した。本作ではエレクトリック・ピアノを大胆かつ大幅にフューチャー、フュージョン色を強めて新境地を切り開いている。(CDジャーナルより)
【アーティスト】
ミシェル・ペトルチアーニ(P,SYN,OG,VO)タニア・マリア(VO)エディ・ゴメス(B)レニー・ホワイト(DS)アンソニー・ジャクソン(EL-B) 他
【収録曲】