20世紀ジャズ名盤の全て

虹の彼方に/森山威男 -1990年代

演奏自体がスローテンポで進行するので、フリーキーなトーンがより映えるというか、異質感を際立たせた演奏と響きます。
2曲目が有名曲”わたらせ”ですが、ここでも冒頭ピアノによる即興的な演奏が延々と続き、3~4分経過したところでお馴染みの旋律がおもむろに登場するような展開で、テンポはここでもゆっくりめで重厚感のある”わたらせ”が表現されます。
これまで(音源でもライブでも)自分が聴いてきた”わたらせ”とは一線を画するとでも言いたいような、ちょっと新鮮に聴ける”わたらせ”であります。

“見上げてごらん夜の星を”は、井上さんのテナーによるまっとうな演奏で始まりまして、これはストレートな分だけ

 

沁みる演奏になっています。途中、即興がちょこっと挟まりますが基本は、ストレートな演奏に終始して終了します。
そして、”Goodbye”。ピアノで冒頭近くから主旋律が提示され、2管がかわるがわる登場して旋律を奏でるこれもスローめなテンポ(これは、いつでもこの程度のテンポっすね(汗))で重厚感をたたえた演奏になっています。
最後に、林さんの高音でピロピロいうトーンからはじまるOVER THE RAINBOWの再演で締めくくられる。
スピードを通常よりスローテンポにしたものも含めて、スローな楽曲を集めていますが、演奏としてはフリー濃度は低めなれど侮れない熱さをもったもので、安易に気持ち良く音楽に浸るようなものではありませんでした。
さすがに、聴きごたえはしっかり持った(高値取引されるのも判る)好演盤でありました。

アーティスト/キャスト
森山威男
井上淑彦
吉野弘志
板橋文夫
林栄一

収録内容
1 虹のかなたに
2 わたらせ
3 見上げてごらん夜の星を
4 グッドバイ
5 虹のかなたに

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